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「この世界に19文字の文章など存在しない」ルコント:PARCO PRODUCE(@サンケイホールプリーゼ)脚本・演出:小林賢太郎、出演:野間口徹 なだぎ武 竹井亮介 うらじぬの 平原慎太郎
天才、小林賢太郎。一度、小林賢太郎一人を集中的に取材した番組を見て、当時、その創造の現場のレベルの高さに衝撃を受けた。「小林賢太郎テレビ」というNHKの番組。DVDなどが出ているみたい。詳細は 以下 https://v.ponycanyon.co.jp/kktv/bd_dvd/index.html 番組は2009年から2020年にかけての放送だったみたい。2020年に小林賢太郎は芸能事務所をやめパフォーマーとしての引退を発表し、現在は裏方として創作者として活躍されているということを、本公演を見て初めてきちんと知った。そして、そのほとばしるような才能の発露を見て、改めて小林賢太郎に強い興味を持つことになった。本公演がそのきっかけを与えてくれたのに感謝。きっかけは1枚の地味なチラシだった。公演の日の前日に九州に仕事で行く用事があったのだが、早めの飛行機で戻ればこの公演が見られることを知り、チケットを確保し、飛行機の時間も早いものにした。私がラーメンズ(小林賢太郎と片桐仁さんのコントユニット)のライブを見たのはずいぶん昔のことである。そのことについて書いた文章があった。「小林賢太郎戯曲集」を読み終わった時に書いたものだが、ラーメンズのライブのことにも触れていた。https://haruharuy.exblog.jp/5450765/ 美大を出ている小林氏の圧倒的な美意識に貫かれた世界観を見ていると、どこか佐藤雅彦氏のクリエイティブにも似た世界観を感じる。きちんとデザインされたものが舞台の隅々にまで配置されている。辻川幸一郎氏の手になる舞台での映像もその世界観がある意味で統一されている。デザインされた世界観の中で個性的な俳優たちが思う存分にアホな不条理なギャグコントを繰り広げる。まさに独自の世界。オムニバス形式となっていていくつかのコントが行われ、舞台転換、衣装チェンジの間を辻川さんのしゃれた映像などが埋めていく。上演時間1時間50分の濃密な体験。あまりの変さにむっちゃ、笑っていたら、上演中に目の前に座っていた小学生低学年と思われる女の子が私の方に真正面に向き合ってガン見された!「このおっさんは何でこんなに笑ってるんやろ?」と思われたのではないだろうか?そもそも、冒頭からすごい!25メートル四方の正六面体の形状のプールの清掃をしている4人とそのプールを所有している大金持ちのなだぎ武という設定。深さ25メートルのさいころのような形のプールを想像するだけで笑えてくる。そこに上書きするようになだぎさんの発声と身体!トニー谷が生まれ変わったのではみたいな感覚に襲われる。https://www.youtube.com/watch?v=izrHYgFjUPo 題名の「この世界に19文字の文章など存在しない」自体が19文字というパラドックス!こうして、一生ボケているまま人生を過ごしたい!ボケたまま突っ込むのは観客の心の中でいいという潔さがいい!観客席は2階席まで満席。このサンケイホールプリーゼにたぶん初めて来たのだが、とてもいい劇場。昔のサンケイホールは桂米朝独演会などの落語会で有名だった。しかしながらあの天井の高さと舞台の大きさがあればいろんな舞台も出来るだろう。証拠に劇場には今後、公演を控えている舞台公演などがいくつも掲示されていた。 本公演にも小劇場などで活躍されている俳優が出演されていて小林氏との長い歴史を感じさせてくれる。 これをきっかけに小林賢太郎氏が発信しているnoteやXなどをすべてフォローさせていただいた。 https://leconte-stage.parco.jp/ https://note.com/kentarokobayashi 次回公演も楽しみ。そして、これをプロデュースしている小林氏とパルコすごい! まだ岡山と福岡の公演がある。詳細は以下 https://stage.parco.jp/program/leconte/ ![]()
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by haruharuyama
| 2026-06-24 09:45
| 舞台
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「かさぶた式部考」文学座(@ピッコロシアター大ホール)作:秋元松代 演出:松本祐子 出演:金沢映実 八十川真由野 石井麗子 名越志保 木津誠之 山森大輔 髙柳絢子 越塚学 柴田美波 宝意紗友莉 杉宮匡紀 鈴木結里 森 寧々 成田次郎 佐藤柊佳
ココロに沁みる傑作。母親の子どもに対する無私の思い。本当の利他とはこういうことを言うのだろうか?決して自己犠牲ではなく結果を受け容れて誠実に清貧に生きる潔さが見えてくる。「これで、いいのだ」というバカボンのパパの言葉を思い出す。まさに「これで、いいのだ」という結末へ向けて大きな物語がうねりだす。内容の概要に関してはさすが文学座!HPに書かれている文章がすばらしい。以下参照ください。 https://www.bungakuza.com/kasabuta/ 久しぶりに大笹吉雄が新聞の劇評で激賞していたのを拝見した。大笹さん85歳!私は残念ながらいままで秋元松代の劇を見たことがなかった。ものすごく激しい。これが書かれたのが1960年代の後半。まだ戦後の名残が残る高度成長期の日本。地方から都市に人が集まり、公害などの社会問題も同時に生まれてくる。格差が生まれはじめ、人々は不安を持つようになる。そういう混沌とした時代、高度経済成長でいけいけの人が生まれるとともに、不安が増大した人たちを救うための新興の宗教団体などが登場し拡大していく。安保運動が拡大し、体制への批判が拡がる。そうした時代の空気を敏感に察知し反映させてこの戯曲が生まれたのではないか?演出は大御所の素晴らしい演出家でもある松本祐子!(これを書くのにプロフィールを調べていたら、何と大阪府枚方市出身!ひらぱーの聖地!俳優の岡田准一といい!枚方すごいやん!私は淀川をはさんで枚方の対岸の高槻で育ちました。笑)抜群の安定感のある演出。そして音響と照明、美術や衣装なども含めて高い完成度。さらには文学座という来年創立90周年を迎える劇団。俳優たちの年齢層の幅の厚さが舞台にも厚さを加える。 冒頭は嫁と姑の話なのか?と思いながら見ていて「華岡青洲の妻」のことを思い出しながら見ていた。しかし、後半になって、これは母子の物語かあるいは女性の自立の物語ではないだろうか?と考えるようになった。秋元さんの書くものにはそうした女性に関する想いがあることを文学座のHPで松本さんが語っておられるのを見て知った。以下、引用する。 以上。まさにこの言葉が投げかけるすべてが舞台から立ち上る。エンディングシーンで母親がおくどさんに一人、火をくべるシーンがある。火吹き竹を使っておくどに息を吹き込むとその炎が突然明るくなる演出があり、なぜだかそれを見て泣けて来た。まさに深い大きな優しさを描いている。上演時間休憩入れて2時間55分。 ![]() #
by haruharuyama
| 2026-06-15 10:39
| 舞台
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舞台「茶色の小瓶」かんから館 第51回公演(@THEATRE E9 KYOTO)作・演出 川村武郎 出演:MIZUKI 重田明日香 瀬戸川皓亮(劇団ケッペキ) 川村武郎 林美応(音声出演)
独特な後味が残る公演だった。第51回公演。30年近く続いているんや。その歴史は以下でご覧になれます。https://www.kankarakan.org/blank-3
私は、初観劇。作・演出の川村さんは公演中のセリフをまま信じるなら1960年生まれの66歳。私が1962年生まれなので2歳違いのほぼ同世代。なので、劇中で語られる固有名詞のほとんどがわかって、そこも共感できたのかも知れない。ある種の川村さんの一人語りみたいなものをそのまま戯曲にして、俳優が演じているような舞台。その語り口は舞台の紹介のサイトを観ればわかる。https://askyoto.or.jp/e9/ticket/20260612
そして、その語り口に興味がある方はこの舞台を面白く感じられるのではないか?見て最初に感じたのは川村さんがその人生において影響をうけただろう文化が網羅的に描かれている点。これを観てなぜか宮沢章夫さんがおやりになっていた「日本サブカルチャー史」のことを思い出した。ジャック・ケルアックたちから始まったビートニクスの運動から語り始められたその番組とここで描かれている1970年代前後のカウンターカルチャー(音楽や小説、映画などなど)が、ごった煮のようにセリフとして描きだされる。通してみるとある種の美意識に貫かれているように思えるのだがいかがだろうか?その表現の幅がカウンターカルチャー的なものからどんどんと外縁に拡がっていく。AC/DCやローリング・ストーンズ、ボブディランをはじめとして、そこからバッハの楽曲やアンジェラアキの「15歳の手紙」そしてフォーククルセーダーズの「悲しくてやりきれない」(さすが京都!)さらには、題名となった、茶色の小瓶などのオーソドックスなジャズまでをも包含されていく。いい意味でとりとめのない拡散型のお話。それらの断片をつなぎ合わせて構成されている。母親役の俳優の芝居がずばぬけていた。発声や歌も含めて。この劇場は音が良く聞こえて完全暗転とともに、本当にちゃんとしている。 と、同時に描かれているのは老いについてのこと。60代も半ばになると「老い」とどう向き合うかが問われてくる。この日、たまたま「ライフシフトの未来戦略 幸福な100年人生の作り方」アンドリュー・スコット/著(@東洋経済新報社)を読んでいて、まさにどのように適切に長寿社会と向き合っていくか?ということが書かれていた。その中で、人生の幸福度は若いときからだんだんと下がっていき50歳前後で幸福感は最低となりその後、上がっていくというデータが示されていた。本作品では27歳と72歳が対比的に語られる。若者と老人は実はとても革新的で幸福な世代なのではないか?自分に置き換えてみても部長職をしていた40代後半は、あれで良かったのか?自分に嘘をついていたのではないか?そのことを組織の役割として部下たちにも本当に思うことを言っていたのだろうか?みたいなことを今も思い出す。加藤周一が某大学で講義したドキュメンタリー映画を見たことがあり、その時に加藤周一が学生に向けて言った言葉が忘れられない。https://www.ghibli.jp/kato/ 社会をより良く純粋に変えられるのは、あなたたち若い学生と私のような年寄りなのかもしれません!と世間のしがらみから解かれ、何が幸福か大切か?ということが問い直され。もう一度、誠実に生きるために進むというのが「老いるショック」から離脱するひとつの方法ではないか?などと夢想する。本公演はそんなことを思い出させてくれるのだった。ところで固有名詞にピンとこない人はこの舞台をどう捉えるのだろう?と引いた視点からの私は思うのだった。上演時間85分。6月14日まで。 https://askyoto.or.jp/e9/ticket/20260612 ![]() #
by haruharuyama
| 2026-06-14 09:42
| 舞台
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舞台「茶色の小瓶」かんから館 第51回公演(@THEATRE E9 KYOTO)作・演出 川村武郎 出演:MIZUKI 重田明日香 瀬戸川皓亮(劇団ケッペキ) 川村武郎 林美応(音声出演)
独特な後味が残る公演だった。第51回公演。30年近く続いているんや。その歴史は以下でご覧になれます。https://www.kankarakan.org/blank-3
私は、初観劇。作・演出の川村さんは公演中のセリフをまま信じるなら1960年生まれの66歳。私が1962年生まれなので2歳違いのほぼ同世代。なので、劇中で語られる固有名詞のほとんどがわかって、そこも共感できたのかも知れない。ある種の川村さんの一人語りみたいなものをそのまま戯曲にして、俳優が演じているような舞台。その語り口は舞台の紹介のサイトを観ればわかる。https://askyoto.or.jp/e9/ticket/20260612
そして、その語り口に興味がある方はこの舞台を面白く感じられるのではないか?見て最初に感じたのは川村さんがその人生において影響をうけただろう文化が網羅的に描かれている点。これを観てなぜか宮沢章夫さんがおやりになっていた「日本サブカルチャー史」のことを思い出した。ジャック・ケルアックたちから始まったビートニクスの運動から語り始められたその番組とここで描かれている1970年代前後のカウンターカルチャー(音楽や小説、映画などなど)が、ごった煮のようにセリフとして描きだされる。通してみるとある種の美意識に貫かれているように思えるのだがいかがだろうか?その表現の幅がカウンターカルチャー的なものからどんどんと外縁に拡がっていく。AC/DCやローリング・ストーンズ、ボブディランをはじめとして、そこからバッハの楽曲やアンジェラアキの「15歳の手紙」そしてフォーククルセーダーズの「悲しくてやりきれない」(さすが京都!)さらには、題名となった、茶色の小瓶などのオーソドックスなジャズまでをも包含されていく。いい意味でとりとめのない拡散型のお話。それらの断片をつなぎ合わせて構成されている。母親役の俳優の芝居がずばぬけていた。発声や歌も含めて。この劇場は音が良く聞こえて完全暗転とともに、本当にちゃんとしている。 と、同時に描かれているのは老いについてのこと。60代も半ばになると「老い」とどう向き合うかが問われてくる。この日、たまたま「ライフシフトの未来戦略 幸福な100年人生の作り方」アンドリュー・スコット/著(@東洋経済新報社)を読んでいて、まさにどのように適切に長寿社会と向き合っていくか?ということが書かれていた。その中で、人生の幸福度は若いときからだんだんと下がっていき50歳前後で幸福感は最低となりその後、上がっていくというデータが示されていた。本作品では27歳と72歳が対比的に語られる。若者と老人は実はとても革新的で幸福な世代なのではないか?自分に置き換えてみても部長職をしていた40代後半は、あれで良かったのか?自分に嘘をついていたのではないか?そのことを組織の役割として部下たちにも本当に思うことを言っていたのだろうか?みたいなことを今も思い出す。加藤周一が某大学で講義したドキュメンタリー映画を見たことがあり、その時に加藤周一が学生に向けて言った言葉が忘れられない。https://www.ghibli.jp/kato/ 社会をより良く純粋に変えられるのは、あなたたち若い学生と私のような年寄りなのかもしれません!と世間のしがらみから解かれ、何が幸福か大切か?ということが問い直され。もう一度、誠実に生きるために進むというのが「老いるショック」から離脱するひとつの方法ではないか?などと夢想する。本公演はそんなことを思い出させてくれるのだった。ところで固有名詞にピンとこない人はこの舞台をどう捉えるのだろう?と引いた視点からの私は思うのだった。上演時間85分。6月14日まで。 https://askyoto.or.jp/e9/ticket/20260612 ![]() #
by haruharuyama
| 2026-06-14 09:42
| 舞台
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「THE GAME OF POLYAMORY LIFE」趣向(@神奈川芸術劇場KAAT大スタジオ)作:オノマリコ、演出:稲葉賀恵、監修:深海菊絵、出演:( Bチーム)
公演詳細は以下 https://shukou.org/polyamorylife/ 2026年6月3日14時公演観劇。台風6号が来ていて、この日の朝、東京地区は暴風雨だった。6月1日にギャラクシー賞の贈賞式で大阪から東京に来て、翌日は高校の同級生と飲み会だった。大阪の高校なのに結果、関東に住んでいる人が多く、半数以上が来ているのではないか?ということで久しぶりに大笑いしながらの飲み会だった。翌朝、大阪に帰る前に何か観劇をしようということで探していたらKAATでこの公演のことを見つけた。私が一番見る気になったのは稲葉賀恵さんが演出をされていることだった。稲葉さんは昨年、読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞されている。翻訳劇などを多く演出されている印象があり、社会問題やジェンダーなどの問題を扱った作品を真正面から演出されている印象がある。また、脚本を書かれているオノマリコさんも何度も名前を拝見しているということもあった。前日からこの公演の予約した方に一斉メールが送られてきており、台風のことがあるが今のところ予定通り行いますとのこと。希望者は別日に振り分けなどのことが書かれていた。私はこの日に観劇して大阪に戻らなくてはいけなかったので上演してくれるのを願っていた。早めに帰阪となると予報的に新幹線が動いてないかも?という懸念があった。結局、予定通り上演されたのだが、観客の入りが少なかったので振替などを希望された方が多かったのだろうと推測した。主催者をはじめスタッフや俳優たちは、それ以上に早く小屋入りして天候リスクなども考えながら稽古をするという本当に大変なことである。 本作は2016年に上演されたものの10年ぶりの再演らしい!私は初観劇。監修をされた深海さんは「ポリアモリー複数の愛を生きる」という著書を出されている。https://amzn.asia/d/0cd3qPrb 私はこの舞台を見るまで「ポリアモリー」という言葉すら知らなかった。調べると「複数の愛を真剣に生きるという考え方」というか「生き方」みたいなものらしい。近年、ジェンダーに関するものが多く発信されるようになった。タイでは何十種類もの性的志向があるらしい。同性愛やアセクシュアルなどの様々なLGBTQなどを扱ったドラマがたくさん放送・配信されている。そして、今回これを観て、10年前にこれが書かれたことに驚いた。ちなみに、「ポリアモリー複数の愛を生きる」が出版されたのが11年前だったことが関係しているのだろうか? 豊田エリーが笠木泉と小川ゲンと3人で住んでいる。メインとなる舞台はその家のリビングルーム。3人は同居しながら愛をお互いに育んでいる。しかも三角関係的な組み合わせ。豊田と笠木、笠木と小川、小川と豊田。男女関係なくキスをし愛を語る。本作では描かれないが性的関係も普通に生活の一部となっている。脚本が翻訳劇みたいなのが面白い。役名が、エンジェルとかムーンとかタイガーという名前だからか?折込でオノマリコさんは、こうした役名しか書かないというのが書かれていて印象に残った。そして、日本人には珍しい、彼らは思ったことをちゃんと言語化して対話・会話する。そのオープンマインドな姿がすごく印象的。豊田エリーというキャラクターがあってのことなのではないか?と私は考えた。あのキャラクターならばこうした発言があってもいいよな!と思えるのだ。彼女の発話が自然体でしかも明るく希望に満ちている、生きる意欲にあふれ、逆に落ち込んだ時には落ち込んだと声にするし決してそのことで鬱々と暗くならないのがすごい!どこかさわやかな感じが残っていくというのが本作の最大の特徴だろう、その空気感を引き出す稲葉賀恵の演出のすごさ。小道具が移動され独特な動的なバリエーションが描かれる。配置が少し違うだけで関係性の変化も感じられ、セリフがそれを強化する。3人の間に入ってくる豊田のことが好きだったアリス(阿岐之将一)が登場する。しかし豊田はアリスをそういう風には見ない。さらに元教え子(豊田は高校のたぶん美術の教員)が豊田のことが好きで告白をする。もてもて、の豊田だが、彼女なりの境界線が自分の中にある。面白かったのがタイガーとアリスが付き合うようになり、2人が別の場所で住むようになる。タイガーの不在を嫉妬心も含めて悲しむ豊田。精神的にへこんでしまい、自分でその気持ちを修正できなくなってしまう。戯曲はそれらの様子を淡々と記述する。身体が触れ合う部分ももちろんたくさんあるし、それによって演劇の得意な身体的な感覚を強く感じるのだが、それと並行して、愛すること、セックスなどの身体関係ではない心の関係のことが書かれている。それを見ていてエーリッヒ・フロムの名著「愛するということ」を思い出した。https://amzn.asia/d/03tjoCzd 私の現在は、まさにこうした後者の感覚が強くなって来ているのだと思った。2020年に前立腺がんの手術をした私は、その時から男性でも何ものでもないものになっていったのだと思う。そして、私はそれを静かに受け容れていった。そうした個人的なことも含めて、いろんな人間関係のカタチがあって良く、それらを認めて生きていけるのが良く、誰かのために何かをしてあげたい。そして明るい方へ進み楽しく今を愛おしく思いながら生きて行きたいと真剣に考えておられるオノマリコさんの言葉を豊田が宣言というカタチで語ったことで、しなやかに受け取ることが出来た。上演時間2時間。6月7日まで。 ![]() ![]() ![]() #
by haruharuyama
| 2026-06-04 15:38
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